レコーディングスタジオではしばしば現実ではありえないような事が起こります。
・・・心霊の話ではありません。
私がアシスタント時代に遭遇した奇怪な経験です。(全て実話)
ある日いつもの様にスタジオの準備をしていました。
仕事内容はミックスダウン。
エンジニアは初対面の人です。
スタジオの卓はSSL4000G、レコーダーはSONY-PCM-3348。
当時極めてノーマルな内容です。
ミックスする曲は一般的なポップロック。
エンジニアは黙々と作業を進めて行きます。
しばらくして奇妙な行動を取り始めました。
ドラムチャンネルのBDをソロにしては聞き、今度はスネアをソロに。
またBD、ハイハット、タム・・・・・。
いろんなチャンネルをソロにしては首をかしげています。
とても不安そうな顔で。
そして振り向いて私にこう言ったのです・・・・
「なんか・・ドラムのBDのチャンネルにスネアとかシンバルとか聞こえるんだけど・・。」
私 「・・?・・・?」
「スネアにもハイハットとかタムが入ってるんだけど」
私「??・・・?はい?何か問題ありますか?」
「いや、だからさ。スネアって書いてあるチャンネルにスネアの音以外に色々入ってるんだよ!混ざってるんだよね!」
(((゚Д゚)))
そうです。
彼は"ミックスだけ"を任されたエンジニアだったのです。
生ドラムを扱うのが初だったのです。
バスドラムと書かれたチャンネルにスネアの音がうっすら聞こえる事が異常だと思ったのです。
当時はエイ○ックスが急成長していた時期で、打ち込みモノの録音しかやった事のないエンジニアがちらほら出てきました。
彼らは生録音を知らないのです。
正にカルチャーショックというか、何と言うか・・。
彼には責任ありませんよ。
問題は彼に仕事をふったディレクターです。
ちょっとオリコンに名前が出ているからって頼んだのでしょう。
彼が生楽器の録音、ミックスをしたことがないと知らずに・・・。
結局仕上がりがグチャグチャ・・とてもよい音にはなりませんでした。
当時こういった類の話をちょくちょく耳にしました。
今彼は何をしているのでしょうか・・・。
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