まず忘れてはいけないのは
「エンジニアになる為にアシスタントをしている」という事。
大きなスタジオになるとアシスタントのプロになってしまう事があります。
誰でもアシスタントをやりたくてスタジオ業界に入って来たのではないはずです。
中にはミーハーな理由で業界入りする人もいますが・・・。
エンジニアになりたい。という事はアシスタントを卒業しなければいけません。
状況は様々です。
契約期間が切れて放り出される、年齢的に仕事がし難くなる場合、自分の能力に限界を感じる場合、とりあえず現状打破のためにフリーになる等、人によって様々ですが、どんなかたちでもアシスタントを辞める時期が来ます。
これの決断ができないと ズルズルとプロアシになってしまうのです。
ではエンジニアとアシスタントの違いは何でしょうか?
簡単に言えば「クライアントとの繋がり」です。
お客さんはスタジオに来るのであってアシスタントは本来誰でもよいのです。
もちろんリスクは避けたいので出来るだけベテランや良く知っている人を希望します。
ですからアシスタントはスタジオありきという事を忘れてはいけません。
(大手広告代理店 電●の社員も大手を振って独立してもなかなか客がついて来ないようです。その時まで会社の看板の大きさに気が付かないのですね・・)
ではアシスタントはひたすらセッティングとバラし、オペレートをすればよいかと言うと
そんな事はありません。
有名な話でディレクターがアシスタントに「ちょっと間奏聞かせて」と言ったところ そのアシスタントは
「結構良いと思います」と答えたそうです。
間奏と感想を間違えたのですが
この場合、自分の感想を言ったアシスタントは褒めるべきだと思います。
セッションに参加しているんだという気持ちで作業をする事は非常に重要です。
ただのオペレーターは必要ありません。
自分が今何をするべきか?エンジニアやディレクターが忘れている事は無いか?
OKの演奏とNGの演奏は何が違うのか?
など 常に気を配る事はあります。
私はアシスタント時代数百曲の歌入れに参加した事になります。
その時から自分なりのディレクションを考えていました。
「良かったテイク、駄目だったテイク」「全体は良くないが一箇所すごい表情が良い場所」
など歌詞カードに書き込んでいきました。
お客さんによっては歌録り後に「適当に選んでつないでおいて」と言われるくらいでした。
エンジニアによってはディレクションはしないというスタンスを持っている人がいますが
今の時代ディレクションが出来るエンジニアは必要だと思います。
何故ならディレクションが出来る人間がいない現場が非常に多いのです。
何も決まらないままテイクだけが増えて喉がつぶれて歌えなくなる事もあります。
20テイクぐらい録音して
「テイク1から全部聞かせて下さい」
なんて平気で言う人もいるくらいです。
アシスタント時代の仕事は非常に貴重です。
一生で1回しか見れないような貴重な現場にも遭遇します。
大きなスタジオにいれば海外の有名エンジニアと仕事をする事もあります。
アシスタント時代は給料をもらって修行しているのです。
全ては自分の為。
考え方を少し変えればキツイスケジュールも耐えられるのではないでしょうか?
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