●クラシックピアノの録音
今回はクラシックピアノの録音についてです。
クラシックの録音は基本的に「何もしない」のが原則です。
実際に耳で聞こえる音を出来るだけ臨場的に録音する事に集中します。
ちゃんとしたクラシック録音はホールで行うのが一般的です。
ホール収録の場合はスタジオ収録とちがって「実際の響き」が大きなウェイトを占めます。
ピアニストによってはホールを選び、ピアノを選んで収録します。
つまりピアノは備品ではなくその作品に合った固体を持ち込む事になります。
調律師も常駐してのレコーディングになるのが一般的です。
●メインマイキング
さて肝心のマイキングです。マイクはDPA4006(旧B&K)が一般的に広く使われています。
メインマイクはピアノから少し離れた場所でABセッティング設置します。
距離3m前後、高さ2m位です。
横からの図だとわかりやすいのですがピアノの中心よりも上を狙います。
私はピアノから広がる音を円に捉えて、その円の真ん中を意識しています。
ホールでの響きでピアニストは強弱や表現をつけますのであまりオンマイクにすると
録音された音と演奏した雰囲気が大きく異なる事になりますので注意が必要です。
(たまに記事などで見かけるピアノの中にマイクを突っ込んだりハンマーの真上などにマイキングしている例がありますが、まずああいったセッティングでは録音しません。)
オンマイクでセッティングするとピアニストや調律師から嫌な顔をされる事もありますよ・・。
マイクは昔から無指向が多く使われていますが用意できなければ単一指向でも問題ないと思います。
●オフマイク(アンビエンス)
オフマイクは複数立ててよい響きを拾える場所を探したりもしますが、あまり音決めに時間がさけない場合は客席の最前列真ん中でほぼ大丈夫でしょう。
人によってはホール常設の3点吊マイクの音が好きと言う人も多いようです。
(私は3点吊マイクの音は遠すぎてメインでは使わないです)
●その他・処理
クラシックピアノはコンプは基本的に使いません。EQも空調ノイズカットや補正程度にとどめます。
あと意外に靴の音や物音が響くので普通のスタジオ録音では気にならない人の動きによるノイズが大きく入ることがあります。
スタジオ収録での場合はリバーブ処理を施すのですが、パンを若干狭くするのがなじませるコツです。
●最後に
実はクラシックピアノの録音には指針とか定番というものは無いようです。
有名なピアニストのCDでも音質や録音条件がまちまちですし、名盤と言われているレコードはサウンドよりも演奏に対しての評価であるという場合がほとんどです。
現在は昔よりもややハッキリめの音が好まれているようです。
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