「マスタリング」を誤解しているかも?


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あなたは「マスタリング」を誤解しているかも知れません。
前回の記事 マスタリングとは何か?の補足記事になります。




一般的に音楽の マスタリング とはwikipediaを引用すると


音楽CD、DVD-AUDIO等の音楽メディアの場合はミキシング(ミックスダウン)して作られたマスターテープから、曲順の決定や、フェードイン・フェードアウトなどのクロスフェード作業、最終的な曲のレベルや音質、音圧調整、曲間の編集等[2]を経て、CDカッティング用マスターテープ(現在はプリマスターCD-RDisc Description Protocolファイル)をつくる作業を指し、通常、マスタリングスタジオで行われる。音楽メディアにおけるプリマスタリングは、楽曲やアルバム全体の最終的な印象を決める重要な作業である。


となります。




現在日本での音楽メディアの主流はCDなのですが このCDは工業製品であり 決められた規格内のマスターを作成する必要があるのですが
その作業をマスタリングと呼んでいます。
もちろん音質の調整や音量の調整を行いますが
調整 であって 変更や加工 ではありません。


「マスタリング=音圧をあげて迫力を出す」 というイメージを持っている方が多いと思いますが
実はそうではありません。


そうではない というよりは そういった音を変えて音圧を稼ぐためにマスタリングは行われていません。
メジャー流通のものに限れば 特にそうです。






では マスタリングって何してるの? 


という質問にはこれがいちばん参考になるだろう というものを紹介します。









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普段聞く市販のCDの音はマスタリング後の音であり、マスタリング前と後で音を聞き比べることは出来ません。


マスタリング業界の超ベテラン田中さんの仕事がここでダウンロードできます。
是非マスタリング前とマスタリング後を聞き比べて欲しいのですが


この時にマスタリング前後のファイルの音量をそろえて聞いてみて下さい。




結論から言うと
「あれ?思ったほど音が変わってないな・・・」と感じるはずです。




そうです 調整とは音のトリートメント、研磨仕上げのような作業ですのでがらっと印象が変わる類のものではないという事がわかります。


もうひとつ 


Goh Hotoda氏のマスタリング観についても こちらで記事がありますのであわせて読んでみて下さい。




  • では 何故マスタリング=音圧をあげて音を派手にする というようなイメージが広まっているのでしょうか?


googleで「マスタリング」と検索すれば848,000以上のサイトがヒットします。
広告には1曲1,000円からという文字が並びます。


こういう安いマスタリング、又はアマチュア、インディーズユースのマスタリングというのはアレンジも録音もミックスダウンも一流のプロ(又はそれに近い人材)が関わる事が少なく、簡単に言ってしまえばミックスダウンまでの仕上がりがプロレベルじゃない場合が多いはずです。


こういった安い(又はプロレベルではない)マスタリングを利用する 客、クライアントが
あまりよろしくない状態のミックスダウン音源を


「メジャーレーベル音源のような音圧や音質にしてくれ」


という注文をするために過度な マキシマイザー、それに伴う倍音付加、マルチバンドコンプレッサーによる音質変更などなど・・ プラグインを8つも9つも使ってこねくりまわす という事態が発生し


結果 マスタリング=音圧をあげて音を派手にする というイメージがまん延したと推測できます。


(私個人の勝手な解釈も入っていますので 全てのサービスが安い=良くない というわけではないかも知れませんが・・・)




  • マスタリングに何かを期待せずにミックスダウンまでに全力を尽くそう


何度か同じような事を書くのですが、マスタリングで劇的に何かが変わるという事はありません。
逆に解釈すると 劇的な音質の変化をしなくてはいけない状態のミックスダウンはうまくいっていない という事です。


マスタリングを自分でやってみて リミッターで市販CDと同じくらいまで音量を上げようとすると 歪む、割れる、音が濁る・・やたらと抜けがわるい・・。


こういう状態ではマスタリングで何をしても根本的な解決になりません。


マスタリングで加工する前に ミックスダウンを見直す、さかのぼって音源の音色を選ぶ、アレンジを見直す、そっちのほうが100倍仕上がりが良くなる・・と私は考えます。


何事も失敗と改良の繰り返しですね。


おわり

https://mix-lesson.blogspot.jp/



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